サイネックス・マガジン

全国自治体が定住促進を強化中! 子育て世代に向けた施策の種類

目次
  1. 子育て支援と定住促進の関係
  2. 子育て支援の種類
  3. 施策設計時の注意点
  4. 子育て世代に向けた定住促進策の展望

いまや全国の自治体で、子育て世代を対象に定住促進の施策を強化しています。施策の種類も幅広く、自治体ごとに特色があります。なぜ、これほどまでに子育て支援を行うのでしょうか。本記事では、その理由や具体的な施策の種類を説明し、どのようにして子育て世代の定住を促進するのかをお伝えします。



子育て支援と定住促進の関係

自治体が子育て支援策に力を入れる理由は、人口減少を食い止めるためです。子育て支援が充実している自治体は、子育て世代が定住しやすく、若い世代が引っ越しを検討する際の決め手にもなるといわれています。
 
子育て支援の取り組みが地域の人口を維持・増加させる力となり、経済を活性化させ、税収増加にもつながっていくのです。同時に、子育て世代が定住しやすい環境が整うことで、地域に活力が生まれ、高齢世代の福祉や地域社会の維持・発展に寄与することが期待されます。子育て支援策は定住促進に大きな効果をもたらし、地域の活性化や世代間の連携を促します。


子育て支援の種類

子育て支援にはさまざまな取り組みがあります。住まいの支援、教育・保育の支援、医療・福祉の支援、地域・文化活動の支援など、幅広い範囲で子育て世代をサポートする施策が展開されています。



【住まい】住宅購入 ・賃貸の支援

子育て世代が住宅を購入したり、借りたりするのを支援している自治体があります。具体的には、子育て世代向けに家賃補助の支援策や、空き家バンクを活用したリフォーム改修費用の補助などです。また、子育て世代専用の賃貸物件やファミリーサイズの住宅を、優先的に紹介している自治体もあります。



【住まい】生活費が安くなる! 電気代支援

子育て世代の生活費の負担を軽減するため、電気代など生活費面の支援を行っている自治体もあります。電気供給サービスを自治体自らが運営し、子育て世代向けに安い電力プランを作り、供給するケースもあります。電気料金といった直接的な生活費だけでなく、太陽光発電システムや蓄電池の設置費用など、設備導入費を助成する自治体も増えてきました。



【教育】保育費補助で働くパパ・ママを応援

教育面の支援も、子育て世代から喜ばれる取り組みです。代表的な取り組みが、保育費補助です。たとえば子どもが通う保育園や幼稚園の費用を補助し、子育て世代をサポートします。各自治体の保育費補助制度はさまざまで、所得や世帯の条件に応じて適用されるため、地域ごとに確認しておくことが重要になります。



【教育】義務教育から高等教育まで教育機関を誘致

地域に住み続けながら、義務教育から高等教育まで受けられる環境を整備するために、大学や専門学校などの教育機関を誘致した自治体もあります。これにより、子どもたちは地元で質の高い教育を受けることができ、地域に対する愛着が培われた結果、将来的に地域への定住を促す効果が期待されます。他にも、学校内にエアコンを整備したり、留学制度を設けて国際交流の機会を作ったりして、地域の教育水準の向上にも寄与しようとする取り組みもあります。



【教育】経済的に厳しい家庭を支える奨学金制度

経済的な理由で教育機会が制限されることがないよう、奨学金制度を設けて経済的に厳しい家庭を支援している自治体もあります。こうした取り組みにより、家庭の経済状況に左右されず、地域の子どもたちが必要な教育を受けられるようになります。また、奨学金制度により必要な教育を受けやすくなるため、子育て世代が安心して住み続けられる環境が整い、定住しやすくなるでしょう。



【医療】医療費補助で経済的に援助

子どもたちが必要な医療を受けられるよう、医療費の一部を補助する制度を設けている自治体があります。家庭の経済負担が軽減されるだけでなく、子どもたちの健康状態の維持・改善にも寄与します。その他にも、妊婦の産科受診費補助制度を設けて、妊娠時の医療費の一部を補助し、経済的な負担を軽減する事例もあります。



【食】給食費の無償化で子どもの健康をサポート

子どもたちの健康を守るため、給食費の無償化を実施している自治体もあります。家庭の経済状況によって子どもたちの食事の質や量が影響を受けるリスクが減り、健康な成長を促します。また、給食費の負担軽減は、地域に住む子育て世代の定住促進による人口増につながる可能性があります。



【食】無料で食べられるこども食堂の運営

こども食堂とは、無料または低価格で子どもたちに食事を提供するコミュニティの場です。自治体によってはこども食堂を運営することで、経済的に困難な家庭の子どもたちにも栄養バランスの取れた食事を提供しています。こども食堂は地域の交流の場にもなり、住民同士のつながりが深まる効果も期待できます。所得に不安がある子育て世代にとっては、安心できるセーフティネットになります。


施策設計時の注意点

施策を設計する際は、地域住民のニーズを踏まえた取り組みや財政負担のバランスを考慮し、効果的な施策を実施することが重要です。また、住民の意見や実情を反映した実効性のある施策を心がけ、定期的な評価・改善を行いましょう。



必ず効果測定できるようにする

効果測定が、定住促進施策の効果を検証する上で重要なプロセスであることは、言うまでもありません。自治体にとって、継続的な財源確保やさらなる改善につなげるために重要です。
 
効果測定ができる体制を整えるべき理由は、議会で施策の効果を説明できない場合、財源が承認されない可能性があるためです。効果測定項目の具体例として、利用者数や制度利用者の定住期間などが挙げられます。施策の目的に直結した指標を設定し、定期的にデータ収集・分析を行いましょう。さらに、各施策の実施状況や効果を詳細に市民に対して報告し、透明性を向上させることも大切とされています。



域外だけでなく域内への公平な情報発信を心がける

域外からの流入者だけでなく、地域にすでに住んでいる人々への情報提供も重要だといわれています。自治体においては公平性がとくに求められるため、情報格差ができないよう配慮が必要です。施策の内容や利用案内を、わかりやすく発信することが求められるのです。
 
情報発信の方法としては、地域の情報誌やデジタルサイネージなどの活用が挙げられます。また地域の民間団体と連携し、多様な情報発信手段を活用して、幅広く情報を届けることが望ましいとされています。



定住促進の施策を受けられる人の条件設定は慎重に

自治体の財源には限りがあるため、誰にでも定住促進の支援ができるわけではありません。適切な人に支援策を届けられるよう、支援条件は慎重に検討する必要があります。たとえば、地域に住む年数や、所得制限の設定が考えられます。適切な条件を設定することで、効果的に支援を行い、地域全体の発展につながるはずです。


子育て世代に向けた定住促進策の展望

今後は、自治体ごとに試行錯誤を繰り返しながら、地域の特徴を反映した定住促進策を設ける必要性が高まっていくかもしれません。財源が少ない自治体は、他の自治体と比べて取り組みが遅れやすくなります。効果的な施策をどれだけ低コストで実行できるようになるかが重要になるのではないでしょうか。子育て支援を事業として実施する企業とパートナーシップを結び、自治体と企業それぞれの得意分野を組み合わせることで、より効果的な取り組みができるようになるはずです。サイネックスは、官民協働による地域課題の解決を重視しています。

  1. Top
  2. サイネックス・マガジン
  3. 全国自治体が定住促進を強化中! 子育て世代に向けた施策の種類