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空き家対策の成功例を大公開!自治体による取り組みとは

目次
  1. 社会問題になっている空き家の増加
  2. 空き家の増加には理由がある
  3. 成功例から学ぶ!自治体による空き家対策
  4. まとめ:空き家対策で地域活性化を目指す

日本全国で空き家問題が増加し、自治体による対策が求められています。空き家の増加が地域創生において問題になっている理由と、全国で空き家が増えている理由、そして空き家対策を行って成功した事例について説明します。



社会問題になっている空き家の増加

近年、空き家の増加が社会問題となっており、その背景には日本の経済状況や高齢化、人口減少に伴う住宅市場の変化にあるといわれています。空き家を解決するための具体的な取り組みが求められており、自治体や民間企業などで、この問題に積極的な対策を講じるところも急速に増えてきました。ここでは空き家が社会問題化していえる理由について、詳しく解説していきます。



空き家は増加し続けている

総務省が実施した令和5年住宅・土地統計調査によると、2023年10月1日現在における日本の総住宅数6504万7千戸のうち、空き家は900万2千戸に上ります。全体の13.8%を占め、7戸に1戸が空き家という事態が発生しています。2018年の13.6%から0.2ポイント増え、過去最高となっています。また、1993年から2023年までの30年間でみると、空き家数は約2倍と増加が続いている状況です。



災害・犯罪リスクの増加

放置された空き家は、災害や犯罪リスク増加の原因となるといわれています。建物が放置されると、雨漏りや構造劣化などの問題が進行した際に適切なメンテナンスが行われず、安全性が損なわれます。仮に建物の倒壊などが起きた場合、近隣の建物や住民に被害が及ぶことも考えられます。また、放置された空き家は犯罪者の隠れ家となったり、不審者の目撃が増えるケースもあり、地域の安全性に悪影響を与える原因の1つとなることがあります。



土地の有効活用を阻む

空き家が存在することにより、本来であれば有効活用できる土地に手が付けられず、地域創生が阻まれる状況が生じます。たとえば、風光明媚な地域に荒れ果てた空き家があると、景観を悪化させて観光資源の劣化につながるかもしれません。空き家には、所有者が不明である場合や、相続問題が未解決の場合などがあります。そのため、法律的な問題により自治体など第三者による対応が難しい点が問題となっているのです。


空き家の増加には理由がある

空き家が増える背景としてはさまざまな理由がありますが、多く挙げられるのは、所有者が希望する価格で販売や賃貸ができないことです。これは、高齢化や人口減少の影響で、需要が低下していることが原因として考えられます。ここでは、その他の空き家が増加している理由を詳しく説明していきます。



放置した方が税金が安く済む

空き家の増加の一因として、放置した方が固定資産税が安く済むという事情があります。これには「住宅用地の固定資産税額の特例」という制度が関係しています。土地の固定資産税は、建物が建っている場合には建物の価格を考慮して算定されますが、特例制度により固定資産税が軽減される場合があるのです。
 
特例適用の条件は、建物が住宅として使用されていることや、土地の面積が一定の範囲内であることなどが挙げられます。空き家を放置することで節税効果が生じており、節税目的であえて空き家を放置する人がいるといわれています。



人口減少や企業流出による借り手不足

空き家の増加を招いている理由の1つとして、人口減少や企業流出による借り手不足が挙げられます。空き家を更地にしたり、リフォームしたりしたとしても、借り手が見つからず事業性が見込めないケースが増えているのです。とくに地方では、人口減少や若者の都市部への流出、立地企業の減少が顕著で、空き家問題が深刻化する原因になっているといわれています。



親との思い出・相続時に処分できなかった

空き家が増える背後には、親との思い出を大切にしたい考えや、相続時に処分できなかった事情もあるといわれています。相続時に適切な処理がされず、先延ばしするうちに放置されてしまうケースです。たとえば、老人ホームに入った親が大切にしていた住まいや場所を、子どもが心情的に処分できず、放置してしまうケースがあります。また、相続はしたものの、リフォームや更地にする資金がないため、空き家として放置される状況も見られます。


成功例から学ぶ!自治体による空き家対策

自治体の中には、効果的な空き家対策を講じて、空き家の減少を実現したところもあります。ここからは自治体による空き家対策の成功例をご紹介します。空き家対策を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。



新潟県加茂市:空き家対策ガイドブックを官民協働で発行

新潟県加茂市では、「空き家対策ガイドブック」を発行しています。空き家対策ガイドブックとは、空き家の所有者が抱えやすい疑問や具体的な手続き方法などを、広くわかりやすく説明した資料です。詳しい情報を幅広くまとめることで、「なんとなくわからないから後回しにしてしまう」ことを減らす取り組みです。空き家所有者や、将来空き家を相続する人が、空き家対策の行動に移りやすくなる効果が期待されています。
 
この情報誌は、サイネックスが地域企業から集めた広告料を活用して、自治体と協働で発行しています。自治体としては費用負担を削減しつつ、充実した情報発信が可能になるメリットがあります。
 
民間企業にもメリットがあります。情報誌の中に「不用品回収」「解体工事」「リフォーム工事」など、空き家対策に関連する事業者の情報が広告として紹介されるため、ニーズが高い人からの問い合わせの増加や、売上を獲得する機会が増えます。



栃木県栃木市:空き家バンクの成約件数No.1を達成

栃木県栃木市は、空き家バンク制度を活用して、全国で最も多くの空き家の賃貸や売却の成約を果たした成功事例です。既に多くの自治体では、空き家バンクをつくり、住民に対して適切なサポートを提供する体制を整備しています。しかし空き家に対する需要と供給のマッチングが、なかなか進まない現状があるといわれています。
 
栃木市では、売主・買主双方のメリットを最大化するために、リフォーム費用の補助や税金の軽減措置などが用意され、高齢者や低所得者が活用しやすい環境を整えました。これにより空き家バンクの活用が進み、地域の活性化につながりました。



徳島県神山町:移住交流促進と空き家改修を連動

徳島県神山町は、サテライトオフィス誘致の取り組みにより、空き家活用と移住促進を同時に進められている自治体の成功事例です。サテライトオフィスが設置されることで、地域に新たな働き手が訪れ、空き家が改修されて住宅や事業所として利用されるようになっているのです。
 
神山町は、空き家対策を地域創生にうまく組み込んでいる事例で、持続可能なまちづくりの実現につながっています。また、地域住民や企業との交流が深まり、新たなビジネスチャンスが生まれることで、神山町全体の魅力が向上しているとされています。



長野県下諏訪町:職人を誘致して空き家を活用

長野県下諏訪町では、職人を地域の商店街に誘致し、空き家を活用する取り組みが実施されています。20年間の取り組みで30店舗以上が開業し、空き家をなくすことに成功しました。
 
職人たちは、空き家を修復しながら地域や文化を学び、独自の技術や知識を生かして新たな価値を創出できます。この取り組みにより空き家が再生され、地域の建築資源が有効活用されるとともに、地域の魅力が発信されています。また、職人と地域住民が協力し、長く良好な関係が築かれることで、持続可能な空き家活用が実現されているといわれています。



鳥取県米子市:固定資産税の通知書時に啓発

鳥取県米子市では、既存の仕組みをうまく活用して、効果的な空き家対策を行っています。米子市は、毎年送付する固定資産税の通知書に、空き家問題への対策を啓発する資料を同封する工夫をはじめました。通知書に同封される資料には、空き家管理の相談窓口の案内や、空き家対策にかかる費用等のシミュレーターの案内を掲載し、空き家を活用したい市民に向けて情報を提供しています。
 
米子市では、この啓発活動により空き家への問い合わせが増えるなど、地域の空き家問題解決につながる成果が生まれています。空き家問題に取り組む意欲がある市民に対策を広めることで、空き家の有効活用が更に進むことが期待されています。


まとめ:空き家対策で地域活性化を目指す

空き家問題は日本全国で深刻な課題となっており、空き家バンクの整備だけでなく、自治体や地域ならではの更なる取り組みが必要となっています。空き家の有効活用や管理を進めることで、地域の人口減少や高齢化に伴う問題を解決し、地域活性化につながる可能性があります。今回紹介した成功事例は、他の自治体にも参考になるはずです。
 
サイネックスでは、公費削減と更なる住民サービス向上を目指し、自治体と協働で、細分化されたジャンル別の行政情報誌を発行しています。その1つに「空き家対策情報誌」があり、既に200以上の自治体と協働で発行しました。これから空き家対策に取り組んでいきたいという方は、ぜひお問い合わせください。

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