住民参加型のシティプロモーションサイト『わが街ポータル』ってどんな内容なの?
1.公費負担ゼロの官民協働事業
こんにちは! サイネックスマガジン編集部の島Dです。主に地域行政情報誌『わが街事典』をはじめとした紙媒体の編集をしています。さて、今回はサイネックスで展開している官民連携事業のひとつで住民参加型シティプロモーションサイト『わが街ポータル』の紹介をしたいと思います。『わが街ポータル』も『わが街事典』と同じく、地元事業者の協賛でサイト構築を行っているので、制作にかかる公費負担はゼロにおさえることがきるのが大きな特徴です。
とはいえ、紙とwebでは勝手が違いよくわからないので、実際に『わが街ポータル』の運営や企画提案を行っているまつさん、くまでぃーさんのお2人に話を聞きました。
2.『わが街ポータル』の担当にインタビュー
――『わが街ポータル』の特徴をおしえてください。
まつさん:はい!『わが街ポータル』は、自治体と住民が一緒になって地元を盛り上げる情報ツールです。シティプロモーションと口コミサイトがミックスしたものと思っていただけるとイメージしやすいかもしれません。
沖縄県石垣市の『じょーとーいしがき』をベースに説明しますと、投稿記事とシティプロモーションの2つに分けられます。
「各種イベント」「おすすめ情報」「求人情報」が投稿記事で、「観光情報」と「特産品情報」がシティプロモーションになります。ちなみに「地元の話題」は、X(旧Twitter)からその自治体に関する話題を自動的に取得して掲載したものです。
投稿記事にはテーマごとに住民が情報をアップできます。地元スポーツチームによるスポーツ大会の告知をしたいなら「各種イベント」に、住民サービスやプレゼントや割引情報など、住民にとってお得な情報は「おすすめ情報」に、仕事やサークル仲間などの人を募りたいときは「求人情報」に投稿していただければ、どなたでも情報発信ができます。
シティプロモーションは観光名所や特産品などで、掲載内容を自治体の方と相談しながら決めていきます。
『わが街ポータル』は“地域住民が情報を発信者して、地域を盛り上げていく”というコンセプトなので、投稿記事に力を入れています。
――なるほど。投稿で印象的だったものはありますか?
くまでぃーさん:はいは~い!! それは私から説明します!
――おお! 期待の新人、くまでぃーさんよろしくです!
くまでぃーさん:はい! たとえば山口県下関市の『しもしもっ!』では、ハローワーク下関の方が、「おトク情報」コーナーで勝手に連載をはじめちゃったりしています(画像参照)。
2024年5月から11月までの間に20件近く投稿してくださっていて、仕事にまつわるさまざまな情報が見られるようになっています。読み物としても面白いので、下関市民の皆さんにはぜひ読んでほしいです。
ほかにも、地元事業者や自治会がイベント告知に利用していて、集客アップにつながったこともあります。
埼玉県三芳町の「三芳町シティプロモーション」では、北永井第二区自治会の夏まつりの情報を投稿したところ、通常よりも閲覧者が増えたこともあります。
アップされたお祭りのプログラムを見ると朝の子ども神輿から夜の盆踊りまで盛りだくさんの1日で、たくさんの人に来てもらいたいという思いが詰まっていました。そういう思いを伝えることに一役買えたのかなと思います。
――地域の人たちによる情報発信が増えるとまちも盛り上がりますね。
まつさん:そうですね。紹介したのは一例で、いろんな投稿の仕方があると思います。
迷子になったペットを探したり、趣味のサークルのメンバー集めに利用したり、公園や道路の清掃などの自治会活動への参加を呼びかけたりするのにも活用できます。
そういう情報発信が頻繁になって、まちの交流人口が増えていくといいなと思っています。そのためにも、「わが街ポータル」のことを地域の皆さんにもっと知ってもらえるようにしていくことが課題ですね。
3.サイトオープンするまでのステップは3つ
――『わが街ポータル』をはじめるにはどんな手順があるんですか?
まつさん:はい。官民協働事業ですので、まずは自治体と当社とで協定を結びます。それから公開までだいたい次の3つのステップに分かれます。
①サイト内容検討期間(公開6~3ヵ月前)、
②サイト構築期間(公開3~2ヵ月前)、
③投稿募集とPR期間(公開1ヵ月前)
①サイト内容検討は、ポータルの基本デザインとコンテンツにそって、自治体色をどう出すかという打ち合わせがメインになります。
トップページでは3枚のメイン写真をスライドさせていますが、サイトの顔なので、地域を象徴するような写真をご用意くださいとお願いしています。提供いただく写真はその地域の名勝やお祭りなど地域愛を感じるものが多いですね。
それとシティプロモーションで何を取り上げるかも話し合います。掲載するコンテンツは2つです。多くのサイトでは「観光情報」と「特産品情報」を掲載していますが、埼玉県川越市の『コエドカラー』では、「親子でおでかけ」「知ってほしい!川越グルメ」というコンテンツにしました。子育て世代に多く利用してほしいというのと、地元グルメを盛り上げたいという要望があったからです。
地域の何を知って利用していただきたいかは、自治体ごとに特色があって当然なので、できるだけご希望に沿うようにコンテンツ作りを行っていますね」
――②サイト構築期間に入ると、自治体とはどうやり取りしているんですか?
くまでぃーさん:地域情報に関しては、自治体から記事の原稿と写真をいただきます。担当されている方によってはメイン写真用に自ら撮影に行ったりすることもあるので、独自色がけっこう出ますね。
記事も観光協会の方とか、いろんな関係者の方にご協力いただいています。
②と③投稿募集とPR期間は、同時並行になることもあって、サイト構築中に地域の事業者や協力団体にも説明を行って、投稿への参加や広告を募ったりします。
PRも同じようにある程度のページができていたら、市のSNSを使った告知もしてもらうように協力体制を作っていきます。
作っても利用されないと意味がないですから、知ってもらうための仕掛けが大切です。
自治体情報の告知に一番効果的なツールが公式LINEです。公式LINEを使って①のタイミングで「サイト名募集」をして、「サイト名の決定」、「トップページができた」、「観光情報ができた」とか進捗ごとに告知をしていただけると好アクセスにつながります。
その際に、広報誌やFacebook、Instagramなどさまざまな発信ツールと連動していると相乗効果が期待できますね。
サイトが公開されたら私たちのサービスが終わりというわけではありません。公開後にどれだけ伴走支援できるかも重要です。山形県新庄市の「かむてんチャンネル」では、投稿を活性化するために「かむてんグルメリレー」を企画しました。市内の飲食店の方々に「おすすめメニュー」「おすすめの飲食店」をリレー形式で投稿していただこうというものです。
――立ち上げたらそれで終わりではなくて、公開後もフォローしてくれるのは心強いですね。
まつさん:そうですね。継続的に使われることで認知も広がっていくと思います。投稿を呼び込むネタなどのノウハウはどんどん蓄積されているので、還元していきたいですね。
4.『わが街ポータル』をシティプロモーションツールとして利用してみませんか
「わが街ポータル」は、デジタルの公設掲示板のようなものです。紙を貼る掲示板よりも適切なタイミングで情報提供や更新ができるので、告知効果の高い情報ツールのひとつといえます。
しかも地域の方々が地域の話題を投稿できるので、コミュニケーションツールとしても使えるほか、地域外の方にとっては地元に密着したディープな観光情報を知るきっかけになることもあります。
まだ始まったばかりのサービスで、認知には時間が必要ですが、制作コストなしでいろんなことにチャレンジできるので、住民とともにトライエラーを繰り返しながら育てていけば、情報インフラとして十分に活用できるサイトになっていくでしょう。
住民参加型の新たな情報発信ツールとして、利用を検討してみてはいかがでしょうか。