自治体DXはなぜ進まないのか?6つの理由と推進方法
自治体DXの重要性が叫ばれて久しいですが、なかなか進まないところも多いのではないでしょうか。DXを進めるためには、自治体DXにおける課題を知り、何が対策となり得るのか理解しておくことが重要です。
本記事では、まず自治体DXが進まない6つの理由を詳細に解説し、それらの具体的な解決策を提案していきます。その中で、デジタル技術の活用や企業との連携、効率的なシステム運用などの必要なポイントを説明します。
自治体DXが進まない6つの理由とは?
自治体DXが進まない理由の中には、自治体特有のものもあれば、そうでないものもあります。これらを理解しておくことで、DXを進めやすくなるでしょう。ここでは、自治体DXが進まない6つの理由を具体的に解説します。
適切な人材が不足している
自治体DXを成功させるための重要なポイントの1つは、適切な人材の確保です。自治体DXを実現するためには、ITをよく理解していて、導入検討の中心になる人材が必要になるでしょう。
しかし、ITの専門知識やデジタル技術をもつ職員の不足や、新しい技術を学ぶ機会が限られているため、デジタル技術やシステムを十分に活用・検討できない場合があります。また近年は、民間企業との人材獲得競争が激しく、優秀な人材を確保するのが難しい状況になっているようです。
DXを推進する部署がない
自治体の中には、業務に応じてさまざまな部署がありますが、DX推進を専門とする部署がないケースも多数見受けられます。その結果、デジタル技術の導入やシステム改善など、組織全体の変革に遅れが生じることがあります。
通常業務と兼務でDXの担当者を置いている自治体もあります。しかしDXには時間と手間がかかります。導入技術の内容を検討したり、IT事業者と調整したり、他部署との調整を行ったりすることを想定すれば、独立した専任部署を設置することが望ましいでしょう。
デジタル化に対する現場の抵抗感
デジタル化に伴う現場の抵抗感が、自治体DX推進の課題になることもあります。デジタル技術導入や業務改革によって業務内容が変わってしまうため、職員や関係者に抵抗感を抱かせてしまうことがあるのです。
この抵抗感が生まれる背景には、デジタル・ITに対する理解不足があります。長くやってきて慣れている業務が変わることでやりにくくなるのではないか、といった不安を解消する必要があるでしょう。
組織内におけるDXに関する情報格差
自治体DXにおける課題の1つとして、情報格差が挙げられます。自治体では幅広い年齢層の人が働いていて、ITに触れる機会が多い人もいれば、少ない人もいます。そうなると、DXに関する共通認識を作れず、意見がまとまらないことがあるのです。
たとえば、データ分析やオンライン手続き、タブレット利用等のイメージができる職員が限られていると、これらが必要なのか、必要ないのか、便利になるのか、不便になるのか、といった意見がバラバラで、集約しにくくなるかもしれません。
業務のブラックボックス化
自治体の業務のDXは、これまで属人化していた日常業務を標準化していくプロセスでもあります。しかし業務によっては、担当者以外はやり方がわからない、ブラックボックス化している場合があります。
この問題の背後には、業務内容のドキュメント化(マニュアル作成)や他の職員との業務共有が不十分であったり、職員間での連携・コミュニケーションが不足していたりすることが挙げられます。
予算が確保できない
予算確保がDX推進における課題であることは、どこの自治体でも共通しているのではないでしょうか。DXの予算が通りにくい理由として、自治体の首長や予算管理部署等の決裁権者や議会で、経費が見返りに見合わないと判断される場合が挙げられます。
費用対効果をしっかり担当者が説明できなければ、正当な評価を受けられないかもしれません。ITに関する知識が豊富でも、費用対効果をわかりやすく資料としてまとめ、説明できる能力も必要になります。
自治体DXを推進する方法
ここまで説明してきた課題を克服し、自治体DXを推進するための方法を紹介していきます。
デジタル人材の確保と育成
デジタル人材の確保と育成は、自治体のデジタル化を進める上で不可欠です。具体的には、新たにITスキルやデータ管理能力がある人材を採用し、デジタル技術を活用した業務改善に取り組みます。また、職員に対してもデジタル技術の研修や支援を行い、職員各自が主体性をもってデジタル化を推進できるよう、環境を整備することが重要です。
さらに、民間企業で専門知識や経験をもつ人材を採用することも、効果的な手段です。民間から採用したデジタル人材は新たな視点やアイデアを持ち込み、組織全体のデジタル化を加速させることが期待できます。
部署を横断したDX推進体制を整備する
部署を横断したDX推進体制を整備することで、プロジェクトにスピード感をもたせられます。DXを推進する専任部署を設置すれば、他の業務に忙殺されることなくDXを検討・推進するための時間を確保できます。
その上で、各部署の代表者が定期的に集まり、横断的な視点での情報共有やDXの取り組み状況を確認できる場を設けましょう。これにより、組織全体としてのDX推進が円滑に進み、業務効率やサービスの質を向上させやすくなります。
身近な業務から着手する
身近な業務からデジタル化を進めることは、組織全体のDXに対する情報格差を是正し、心理的ハードルを下げる上で効果的です。幅広い職員がDXで得られる恩恵を肌感覚で体験することによって、デジタルに対する抵抗感を和らげ、業務の効率化や利便性を理解できます。このように、デジタル技術を前向きに受け入れる機会が増えることで、組織全体でのデジタル化の取り組みがよりスムーズに進められるでしょう。
中長期的な計画を策定して段階的に取り組む
自治体DXには、確実に効果を出すためにも中長期的な計画が必要とされます。綿密な検討に基づき策定した計画に沿って、段階的に取り組むことで、効果的な結果を生み出しやすくなるでしょう。
とくに、自治体の事業においては、ITシステムなどの基盤整備や職員の意識改革が課題となる場合が多いため、時間をかけて取り組むことが重要です。これにより、地域全体のデジタル化の推進と住民サービスの向上を実現することが可能となります。
補助金を活用する
自治体DXにおける課題である財源不足に対しては、補助金の利用が解決策の1つになるでしょう。国は自治体向けにさまざまな補助金を用意しています。
たとえば、データ活用やシステム導入、人材育成などの業務改革を支援するものがあります。これらの補助金を活用すれば、必要なサービスやシステムを少ない費用負担で導入することができ、地域経済の活性化や行政サービスの向上につながるでしょう。
具体例として、IT人材育成のための教育プログラムや、デジタル技術を活用した業務改善、セキュリティ対策の強化等が挙げられます。しかし、効果的な活用のためには、自治体が適切な補助金を選び、適切な申請手続きを行う必要があります。また、補助金を活用した取り組みの効果測定や改善活動も重要です。
民間企業と連携する
DXの分野では、官民協働が魅力的な解決策となる場合があります。民間企業と連携することで、自治体が負担するコストを削減できるだけでなく、市民に対して魅力的なサービスが提供される可能性が高まります。
企業との協力関係を築くことで、デジタル技術の活用や業務効率化が加速し、行政サービスが向上する可能性があります。たとえば、企業や地域コミュニティ団体も発信できる準公式媒体を用意することで、より魅力的な媒体に育てられるようになるでしょう。
サイネックスが支援する自治体DX
サイネックスは、官民協働による自治体DXを推進しています。
たとえば、情報メディア事業では、官民共同による地域情報誌の発行や、シティプロモーションサイトのプロデュースを行っています。DXサポート事業では、AIによる問い合わせ対応、ブロックチェーンを活用した地域通貨システムの導入支援なども行っています。
DXが進まない自治体に多いのは、自分たちだけで何とかしようとしている場合です。サイネックスは自治体のDXパートナーとして、柔軟な視点から自治体に合ったサポートを行っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。