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イベントでシティプロモーションを加速させるには?計画と資金調達の方法

目次
  1. シティプロモーションとは
  2. シティプロモーションにおけるイベントの位置づけ
  3. シティプロモーションイベントの計画方法
  4. シティプロモーションイベントの資金調達方法
  5. まとめ

近年、シティプロモーションに取り組む自治体が増えています。シティプロモーションを行う上で代表的な施策の1つが地域イベント開催で、住民や観光客といった来訪者に地域の魅力をわかりやすく伝える効果があるとされています。
 
しかし「イベントをやれば何でもいい」というわけではなく、成功させるには入念な計画と資金調達が必要です。今回はシティプロモーションにおけるイベントの位置づけや、計画・資金調達の方法など、シティプロモーションを行うための具体論を紹介します。



シティプロモーションとは

シティプロモーションとは、地域の取り組みや魅力を発信して、住民の愛着醸成やブランド形成を目指す取り組みの総称です。その結果、移住者・定住者の増加、関係人口の拡大、観光客の誘致、産業の誘致などの効果が生まれます。

近年は多くの自治体で「シビックプライド」の醸成が課題となっています。シビックプライドとは、その地域に対する誇りや愛着のことです。人口減少社会の中で、どうしても地域に「ないもの」に目が向けられがちですが、「あるもの」を積極的に内外に発信するのです。そういったシティプロモーションはシビックプライドの醸成につながり、住民の定着、ひいては地域の持続可能性を確保する上で大切な施策となっています。

関連記事:シティプロモーションとは?目的から成功するポイントまで徹底解説



シティプロモーションにおけるイベントの位置づけ

シティプロモーションには、内外に対して地域のよさを伝える営業的側面があります。ここでは、シティプロモーションの中でイベントが担う役割をご紹介します。



地域に対する関心の喚起

普段は自治体が発信する情報に目を向けていない住民も、イベントに参加することで情報に触れる機会が生まれます。イベントで町の魅力が効果的にプロモーションされていれば、自分たちの町の魅力をあらためて認識し、シビックプライドの醸成につながります。また、住民だけでなく来訪者向けの宣伝効果も期待できます。Webなどの媒体経由では伝わり切らない熱気や地域の雰囲気などを感じる機会になるのです。
 
イベントは、地域内外の人がその魅力をわかりやすく体感できるもので、地域に対する関心を喚起する効果的な手段とされています。また、住民にあまり認識されていない地域の魅力を認知してもらう場所としても活用できます。デジタルサイネージなどをイベント会場に設置し、自治体として新たにプロデュースしていきたいポイントを住民へアピールすることも可能です。



市民を発信の担い手として巻き込む

自治体の財源だけで、シティプロモーションのターゲットに広く情報を届けることは難しいです。認知度を上げ、高い効果を得るためには膨大な予算が必要になるでしょう。だからこそ、市民を発信の担い手として巻き込むことが重要になります。
 
イベントをきっかけに市民が自らアンバサダーとなって、自主的に地域の魅力を発信してくれれば、自治体の限られた予算でも大きな効果を発揮できます。
 
InstagramやX(旧Twitter)、FacebookなどのSNSで多くの人がポジティブな情報を発信してくれれば、それが広く拡散され、大きなプロモーション効果を発揮するかもしれません。たとえばイベント会場で、写真映えするスポットを作っておき、SNSによる発信を誘発する仕掛けをしておく等の工夫が考えられます。自治体によっては、アンバサダー制度を設けたり、発信者のスキルを育成するための講座を設けたりする等の取り組みをしているケースもあります。



共創パートナーの探索

シティプロモーションは単年度で終わるものではなく、継続的に行うべきものといわれています。複数年にわたって実施することで、内外の認知度を高めると同時に、認知の定着を図るのです。
 
イベントは、市民や民間企業などの共創パートナーを探す場にもなります。本来は、いつまでも自治体の財源のみで実施し続けるべきではありません。市民が自然と情報発信したくなったり、民間企業が進んで扱いたくなったりする魅力的なコンテンツになることが重要です。
 
たとえば、地域のお祭りが予定されていると、観光事業者やイベントサイト運営事業者、ニュースサイト、公共交通事業者、お祭り会場に近い飲食店などが積極的に取り上げてくれることがあります。こうした民間企業は、お祭りの集客力が大きくなるほどメリットが得られるため、共創パートナーとなり得るでしょう。魅力的で集客力があるイベントを作ることで、シティプロモーションを一緒に盛り上げる共創パートナーも増えることが期待できます。



シティプロモーションイベントの計画方法

ここまで紹介してきたように、シティプロモーションのイベントでは「地域に対する関心の喚起」「市民を発信の担い手として巻き込む」「共創パートナーの探索」といった効果を発揮することが求められます。そのためにどのように計画を立てるべきなのか、ポイントを解説します。



町の上位計画と連動させる

何をするにしても、自治体が行動するためには予算が必要となります。予算を確保するためには議会で理解を得る必要があり、そのためには町づくりに関する上位計画に沿うものであることをしっかり説明することが求められます。
 
すでに策定された上位計画があるならば、上位計画が定める方針に整合したシティプロモーション施策やイベントとして位置づける必要があります。シティプロモーションのイベントが、町の上位計画を実現するためにどれだけ有効なのか、目指す効果を整理しましょう。
 
シティプロモーションやイベントについて議会の理解を得ることで、大規模な施策を実行しやすくなったり、複数年にわたって継続的に実施したりできるようになります。結果的に、シティプロモーションの効果を高めることにつながるはずです。



キーメッセージを策定する

シティプロモーションは、企業でいう商品サービスブランドのプロモーションやブランディングに当たる取り組みです。それを、町という規模で実行するのがシティプロモーションです。誰に、何を、どのように届けたいのかを明確にして、関係者間で共有しましょう。
 
町にはさまざまな魅力があり、自治体職員の中でも捉え方はさまざまです。自治体内でしっかり意識統一することで、一貫性のあるシティプロモーションになります。キーメッセージの策定は、多くの関係者を意識統一する上で有効な方法です。すでにシティプロモーションに取り組んでいる自治体の多くは、シンプルかつ伝わりやすいメッセージを掲げています。



目標は数値化して検証しやすくする

シティプロモーションのイベントでは、PDCAを回しながら検証を続けることで大きな効果を発揮しやすくなるといわれています。改善を重ねながら継続的に実施することで認知度を高めていくものだからです。これは企業のプロモーションも同じで、継続的に実施する中で、「何人に情報を届けられたか」「そのうち意図した行動をした人はどれだけいたか」といった効果を確認し、PDCAを回します。
 
シティプロモーションイベントにおいても、参加者数などの数値目標を定め、人数が毎年増えるようにPDCAを回しながら施策の効果検証をできるようにしましょう。数値目標は参加者だけではありません。地域情報を発信するアプリや公式SNSへの登録数、アンケート回答数などが挙げられます。
 
イベント会場でノベルティと交換形式でアプリやSNSに登録してもらったり、アンケートで初参加とリピーターの数を確認したり、来訪者数調査などをして、数値目標への到達状況を確認する仕組みを整えましょう。



シティプロモーションイベントの資金調達方法

イベントで目標を達成するためには、ある程度の資金が必要になります。ここでは資金確保の方法を解説します。



自治体の自主財源

立ち上げたばかりだったり、財政的に自立が難しかったりするイベントの場合は、自治体による予算執行が必要になるかもしれません。先ほどご紹介したとおり、予算を継続的に確保するには、上位計画との連動性や、数値目標の設定、PDCAによる費用対効果の検証、改善に向けた取り組みが必要とされることが多いようです。



補助金

補助金を活用する選択肢もあります。自治体が予算申請の主体になる場合もあれば、商店街組合など住民自治組織、民間企業が申請主体になる場合もあります。補助金のデメリットとしては、申請や報告に手間がかかるなど、面倒な手続きが発生することです。しかし申請書で求められる事業計画を策定したりする中で、イベントの目的や目標、計画などを洗練させられるといったメリットもあるといわれています。



企業からの協賛金

イベントの協賛企業を募り、協賛金を拠出してもらう選択肢もあります。協賛してくれた会社の情報をイベントチラシやパンフレット、Webサイト、現地媒体等で掲載したりすることで、町づくりに賛同する企業の広報に協力します。
 
お金という形での協賛だけでなく、現物支給による協賛もあります。たとえばイベントの景品として企業の商品を出してもらう方法です。企業としては自社商品の宣伝につながり、自治体としては景品に必要だった予算を節約できます。



クラウドファンディング

クラウドファンディングで広く出資を募り、イベント資金に活用する方法もあります。出資のリターンとしてイベントのVIPチケットや、地域の特産品、ブランドロゴを利用する権利などを提供します。
 
リターンを工夫して出資者が自らアピールしたくなるようにできれば、出資者自らが発信し、更なる広報効果の向上や、他の出資者を集められるかもしれません。



まとめ

イベントはシティプロモーションを加速させる上で重要な役割を果たします。一方で、効果を最大化するには綿密な計画を策定し、必要な財源を確保する必要があります。財源確保にはさまざまな方法があるため、自分たちの目指す方向性に合わせて取り組むことをおすすめします。
 
重要なのはイベントを開催することではなく、そこに参加した人が地域の魅力を知り、外部発信をしたくなるような動機につなげることです。そのためにはイベント前・イベント中のデジタル・アナログな発信が重要になってきます。

サイネックスでは、 自治体のシティプロモーションや、実行のためのデジタルコミュニケーション・アナログコミュニケーションの支援をしています。「シティプロモーションの具体的な手法を知りたい」「予算化や協賛企業の集め方を知りたい」「PDCAの具体的な回し方を知りたい」など詳細が気になる方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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