サイネックス・マガジン

税収増だけではない!移住支援が促進する地域創生

目次
  1. 税収の確保
  2. 新しい産業の創出
  3. 働き手の確保や事業継承
  4. 都市機能の維持
  5. 地域内経済循環の実現と外貨の獲得
  6. 住民自治組織の維持
  7. 未利用資源の活用
  8. サイネックスの移住促進に向けたプロモーションサービス

自治体が移住支援を行う代表的な理由が税収確保ですが、それだけではありません。他にも多面的なメリットが得られます。今回は移住支援策による代表的な7つのメリットを紹介していきます。皆さんの自治体ではどのメリットを重視するべきなのか、ぜひ検討する材料にしてください。



税収の確保

先ほどご紹介した通り、移住者が増えることのメリットとして税収増が挙げられることが多いです。しかし具体的な税収の増加額を知らない方も多いのではないでしょうか。

地域によって住民1人あたりの地方税額は異なりますが、政府が公開しているRESAS(地域経済分析システム)によると、2022年度は124千円~447千円でした(都道府県単位で比較した場合の上限~下限)。これだけの税収が移住者1人により生まれるのです。

参考:RESAS(地域経済分析システム)「地方財政マップ・一人あたりの地方税」

自治体にとって税収確保は、財政力に直結する非常に重要な問題です。財源がなければ住民向けの行政サービスも提供できなくなるからです。地方税は自治体にとっての自主財源で、国の交付金のように用途が縛られず、地域に合った独自の施策に使うことが可能なお金といわれています。

地方税が多い自治体は、地域の状況に合わせて独自の施策を打ったり、将来予想される課題に向けて投資したりするなど、地域を豊かにするために多くのお金を使うことができます。一方で地方税などの自主財源が乏しい自治体は、思い切った施策を打つことが比較的難しくなります。



新しい産業の創出

移住支援を行うことで、多様な技術・経験・発想をもった人材が集まり、産業創出の基盤形成につながります。地域の外でさまざまな仕事を経験した人が移住してくることで、これまで地域になかった事業の創出につながることが期待できます。

長く住んでいる人にとっては当たり前のことでも、移住者の目から見れば大きな魅力として映ることがあります。そこに移住者がもつ技術や経験が加わることで事業として成立し、雇用創出や観光客の増加、法人税の増加、高度なスキルをもった人材の育成、更なる移住者の定着などにつながるかもしれません。

たとえば岡山県西粟倉村 は、移住者を積極的に受け入れることで地域創生を成功させた事例として挙げられます。移住支援だけでなく起業支援も積極的に取り組んだ結果、多くの移住者が西粟倉村で起業しました。移住者が自然資源を活用したさまざまな事業を立ち上げていったことで、西粟倉村は「ローカルベンチャー」の草分け的存在として全国的に有名になりました。今でも、村内のベンチャー企業が人材募集することで、移住者は増えているといいます。



働き手の確保や事業継承

近年、東京などの大都市に人口が一極集中することが問題になっています。働き盛りの若者が地域から流出することで、地域企業は深刻な働き手不足に陥り、最悪の場合は倒産したり、地域外へ移転したりする事態もあり得ます。
 
地域住民にとって企業が減ることは職場の減少、つまり就職先の選択肢が少なくなることであり、地域に住み続ける理由が少なくなります。働き手が少なくなり、企業が撤退し、更に働き手が流失する、といった負のスパイラルが生まれてしまいます。
 
移住支援は、こうした事態を防ぐ地域創生の施策の1つといえます。働き手の確保だけでなく、少子化による事業継承問題の解決にもつながるかもしれません。移住者が職場に溶け込み、事業主と良好な関係を築ければ、後継者として地域の伝統的企業を引き継ぐ決断をする可能性もあるでしょう。
 
移住者を増やすには、地域の雇用ニーズを把握する仕組みを整えることが重要です。従業員を募集している企業や、その職務内容、職場の雰囲気や魅力、やりがいなどを紹介するポータルサイトなどを用意します。企業と就職希望者をマッチングする就職支援サイトなども有効です。



都市機能の維持

出典:国土交通省「都市圏参考資料」

日本全体として人口が減少していくことは避けられない現象ですが、移住支援は人口減少の緩和につながるといわれています。なぜ人口減少の緩和が重要なのかというと、地域企業が人口減少の社会に適応する移行期間を確保できるからです。

人口が急速に減少すると、スーパーマーケットやスポーツ施設、映画館などの存続ができなくなります。住民生活を豊かにするために必要なサービス事業者が撤退してしまうことにより、都市機能の維持ができなくなってしまうのです。

たとえば有料老人ホームは、人口が27,500人を下回ると存在確率が50%になるといわれています。病院は17,500人、銀行は6,500人、コンビニは2,200人、一般診療所は1,800人が目安とされています。

自治体が移住支援を行うことで人口減少を緩和できれば、緩やかな移行期間の間に企業は新規事業に挑戦したり、DX化などで事業構造を改革したり、企業競争力の確保に向けた取り組みができるでしょう。これも地域創生に必要なことです。



地域内経済循環の実現と外貨の獲得

出典:RESAS「地域経済循環図」

皆さんの自治体では、どれだけのお金が地域内を循環しており、外貨獲得と外部流出がどれだけの規模で起きているのか、把握できているでしょうか。上図は岡山県西粟倉村の地域経済循環を示した図です。たとえば「支出」欄を見てみると、民間消費と民間投資は大部分が地域内で循環していますが、その他支出(行政支出)が地域外企業に依存しており流失していることがわかります。

人口が減少すると企業が地域外へ流失してしまい、住民は地域外の企業のサービスに頼るようになります。住民が支払うお金が地域の外に出ていくことで、法人税などの税収だけでなく雇用も流失していき、地域の空洞化を招くことになります。

逆に移住者のイノベーションなどが起点となり、魅力的で競争力のある事業を生み出せば、地域外からの外貨獲得が期待できます。それが従業員の給与に還元され、住民の可処分所得が大きくなり、地域経済を大きくすることにつながります。移住支援は、地域内経済循環の促進と外貨の獲得の両方にとって重要な施策といえます。



住民自治組織の維持

住民生活に必要な機能の中には、自治体の行政サービスでは手が届かないものもあります。従来、こうした機能は住民自治組織(有志の地域コミュニティ)が担ってきました。たとえば、消防団・自治会・婦人会・PTA・お祭りの委員会・商店街組合・NPOなどが挙げられます。人口が減少したり高齢化したりすると、こうした自治組織も機能しなくなってしまい、結果的に自治体の財政出動が必要になることも考えられます。
 
たとえば、従来は地域のご近所同士が日常的に声を掛け合っており、お互いの状況をよく理解できていました。しかし近年は住民組織が希薄化してきたことで、孤独死などが頻発するようになっています。住民自治組織は、災害などの非常時にも重要な役割を担います。実際に東日本大震災では、住民自治組織が率先して避難所の運営や外部との連絡調整、防犯などに取り組んでいました。
 
移住者が定住して地域に溶け込むことで、こうした住民自治組織を維持できるようになる可能性もあります。近年は移住者も地域コミュニティへの参加を望む方が多く、住民自治組織の活性化も期待できるかもしれません。



未利用資源の活用

地域で放置されていた未利用資源を移住者が有効活用し、地域創生が進む可能性も考えられます。未利用資源の例としては、耕作放棄地や放置林、豊かな自然景観などが挙げられます。
 
たとえば徳島県上勝町のベンチャー企業は、和風料理の“つまもの”として使われる葉っぱの存在と、葉っぱの育成や管理ができる住民の存在を強みにして、事業を成功させました。今では地域創生の成功事例として有名となっています。
 
近年は空き家の増加が社会的な問題になっており、放置された空き家は倒壊や犯罪に利用されるおそれがあるなど、地域の安全性や景観にも悪影響を及ぼすといわれています。空き家を魅力的な資源とみる移住者もおり、リノベーションしてそこを事務所や住宅として活用するケースも増えています。地域創生において未利用資源の活用は、地域課題の解決にもつながるテーマと言っても過言ではありません。
 
移住者が未利用資源を活用するためには、その存在を把握することが重要です。本来は長く地域に住む中で気付いていくことですが、地域のポータルサイトなどに情報が集約されていれば、移住者はより効率的に未利用資源を活用して成果を出しやすくなるでしょう。



サイネックスの移住促進に向けたプロモーションサービス

ここまで、移住支援によって得られる地域創生のメリットを紹介してきました。ぜひ本記事を参考に、皆さんの自治体で重視するべき部分を考えてみてください。

サイネックスでは、移住支援に必要なさまざまな事業を展開し、官民協働による地域創生を支援しています。たとえば、イベントやグルメなど地域での生活を豊かにする情報を集約したシティプロモーション特設サイト『わが街ポータル』、日常生活に必要な情報などをまとめた『わが街事典』などがあり、地域ごとの特徴に応じて幅広い支援を行っています。 「自分たちの自治体では何を追求するべきだろうか」「どんなことをまずはやるべきか」「他の自治体の成功例を知りたい」など、まずはお気軽にご相談ください。

  1. Top
  2. サイネックス・マガジン
  3. 税収増だけではない!移住支援が促進する地域創生